ハーレーダビッドソンのエンジンは現在に至るまで多くの種類が登場していますが、その中で1929年から1974年まで作られ続けた、フラットヘッドという種類が1番製作期間が長いエンジンとなりました。
バルブの駆動方式は現在のOHV(オーバーヘッドバルブ)のものとは違い、サイドバルブというものが採用されていました。
これはシリンダーの横にバルブが上を向いた状態で配置され、4つのカムの働きにより、上に持ち上げられて開閉をするというシステムでした。
OHVとはかなり異なる構造や駆動システムであり、バルブを横よりも上に配置した方が燃焼効率が良いという事は最初から分かっていたのですが、当時にはそれを実現する技術力がまだありませんでした。
そのため、ハーレーダビッドソンの黎明期ではサイドバルブの方式が採られたのでした。
このサイドバルブ方式はバルブが上に持ち上げられるためにバルブ可動分のクリアランスを確保しなければならず、結果として燃焼室は小さくなり、圧縮比も高くなる事はありませんでした。
現代のハーレーダビッドソンのエンジンと比較してみると、燃焼効率の悪い非力な性能でした。 それでもシンプルな構造とパーツの少なさから、メンテナンスが容易という利点もありました。